問題
古人も多く旅に死せるあり.
昔の人もたくさん旅に出て死んでしまった人がいる.
死せ(,形)+る(,形)+あり(,形)
春立てる霞(かすみ)の空に,
春だっている霞ががっている空に,
春立て(,形)+る(,形)+霞(名詞)
住める方は人に譲り(ゆずり),
住んでいる家は人に譲って,
住め(,形)+る(,形)+方(名詞)
帥殿(そちどの)の南院にて人々集めて弓あそばししに,この殿わたらせたまへれば,
藤原伊周(ふじわらのこれちか,道隆の息子)が,南院で人々を集めて弓の競射の会を開いた時に,(政敵の道隆の弟の)藤原道長がやって来なさったので,
わたら(,形)+せ(,形)+たまへ(,形)+れ(,形)+ば(接続助詞,順接)
夕暮れのいたう霞みたるに紛れて,かの小柴垣のもとに立ちいでたまふ.
夕暮れでひどい霞(かすみ)がかかっているのにまぎれて,(光源氏)はあの小柴垣の辺りに出て行かれる.
霞み(,形)+たる(,形)+に(格助詞)
薩摩守忠度(さつまのかみ,ただのり)は,いづくよりや帰りたりけん,
薩摩守,忠度は,どこからか帰ってきたのであろうか,
帰り(,形)+たり(,形)+けん(,形)
「忠度.」と名乗りたまへば,「落人帰り来たり.」とて,
「忠度だ.」と名乗りなさったので,「落人が帰ってきた.」と門人が言って,
帰り来(,形)+たり(,形)
その内騒ぎ合へり.
家の中は大騒ぎになっている.
騒ぎ合へ(,形)+り(,形)
日頃詠み置かれたる歌どものなかに,
日頃,詠んで貯められた歌の中で
詠み置か(,未然形)+れ(尊敬,形)+たる(,形)+歌ども(名詞)
秀歌とおぼしきを百余首書き集められたる巻物を,
秀歌と思われるものを百あまり書き集めなさった巻物を,
集め(,形)+られ(,形)+たる(,形)+巻物(名詞)
已然形+ば: 順接
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